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酷暑の島国を脱出して大陸へ

直前予約なのにお得で充実

スペイン旅行2013年「夏のハイシーズン編」

写真はセビリア近郊のカルモナのパラドールからグラナダへ向かう際に走ったA-380。途中のマルチェナまで約17キロ、ほぼ直線の道が続く。この間、ゆっくり走って20分ほどで、すれ違ったのは車1台と自転車1台だけ。

「はるか地平線が四方に広がり、この惑星上にただ自分だけがいる」という世界へどっぷり入りこめた。(人の目の高さで地平線まで約⒋5キロ)

さらに、この辺りはひまわり畑らしく、6月ごろ? の満開なら、とんでもない空間になりそうだ。自転車で走れば、別世界にトリップできるだろう。

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早々と東京で梅雨が開けた7月、クソ暑い島国を脱出する旅に出たくなった。

海外は2年ぶり。今回の目的地スペインは、数10年ぶりになる。ヨーロッパは、都合4度目か。トーマスクックの時刻表を片手に、ヒッチハイクで巡った、青春の思い出に満ちた場所だ。

旅に出て、どこまでも続く地平線を眺めながら、中世へタイムトリップしたい。領主様になったように城で眠り、悠久の歴史ロマンの中へ身を浸らせたい。

地獄のような日本の酷暑の中で、雑事に追われる日常を蹴飛ばしてやる。

「そうだ、やるぞ」と意気込んだが、やっぱりカネがない。その上、夏のヨーロッパは、バカンスのハイシーズンだ。7月から計画するのは、いかにも遅い。

だが、さんざ個人旅行を嫌い、もっぱらツアーばかりだった嫁に、「本物の旅」の醍醐味を味あわせて、ダンナの権威を回復し、待遇を改善することは急務だ。

カネがない、時間がない、体力もない人に向けて、お得で充実したスペイン個人旅行を実現するために。geromazuの経験を公開しよう。

日程と予算

旅は8月2日発同12日着の11日間
日程は以下だ。

8月2日 午前中、地方から1時間強の成田へ。成田空港13:15⇒アリタリア航空⇒ローマ(乗り継ぎ)⇒23:55マドリッド。「空港そばのホテル泊」
8月3日 マドリッド観光⇒トレドへ移動。「トレドのパラドール泊」
8月4日 終日トレド観光。「トレドのパラドール泊」
8月5日 マドリッドに戻って新幹線でセビリアへ移動⇒レンタカーでカルモナへ移動。「カルモナのパラドール泊」
8月6日 レンタカーでカルモナからグラナダへ移動⇒アルハンブラ宮殿を観光。「高速そばのビジネスホテル泊」
8月7日 レンタカーでグラナダからコルドバへ移動⇒メスキータを観光。「ローマ橋そばのホテル泊」
8月8日 レンタカーでコルドバからセビリアへ移動⇒スペイン広場を観光⇒夜ブエリング航空でバルセロナへ移動。「バルセロナの銀座4丁目のオステル泊」
8月9日 バルセロナサグラダファミリアを観光。「バルセロナの銀座4丁目のオステル泊」
8月10日 バルセロナでピカソ美術館を観光⇒銀座で買い物。「バルセロナの銀座4丁目のオステル泊」
8月11日 バルセロナ空港11:05⇒KLMオランダ航空⇒アムステルダム(乗り継ぎ)⇒8:20福岡
8月12日 博多ラーメンを食べて地方へ移動し、午後に帰宅。

予算 航空券と初日のマドリッドの宿泊  16万円(1人当たり)
   残りの日の交通費や宿泊ほかすべて 22万円(1人当たり)

航空券はHISで購入。ネットで内容を固め、店舗で決済した。ハイシーズンにも関わらず、燃油サーチャージ込み、地方空港経由で15万円ほど。出発が早朝や深夜便ではない点も好条件に思えた。

当所予算は1人合計30万円だった。

誤算その1:レンタカー料金 1万6000円が4万円に。
 ネットの予約サイト、ジグソー(rentacar.com)を使い、バジェットの格安のレンタカーを保険もフルで予約し、決済済みとしたはずだった。が、現地で日産マーチがシトロエンCV4に変わり、ガソリン代と別途保険代を上乗せされるなどしてAVISの標準料金になってしまった。経緯は旅行記で詳述する。

誤算その2:パラドールの格安宿泊1人1万円前後のはずが2万円に。
 パラドールは、予約状況によって半額以下になる格安料金を狙った。しかし、郊外で車がないと不便な立地が裏目にでる。結局、嫁が外で食べるのは面倒だと言いだして、1人7000円ぐらいの夕食と同2500円ぐらいの朝食付き。タクシーで旧市街へという状況で、ちっとも安くならなかった。

誤算その3:暑さに耐えられない。
 夏のアンダルシアは42度。日本は41度で大ニュースのはず。そんな場所で何日も歩き回るのだから。「ちょっと茶飲んで涼む」「食欲ないから高くてもおいしい物食べたい」「疲れたし安いからタクシー使おう」となり、節約不能なペースに。

誤算その4:物価が高い。
 スペインはタクシーと宿泊費は日本より割安。だが、かつてヨーロッパの中でも物価が安いと言われた面影はない。

1ユーロ130円以上(現地両替なら150円だ)の円安に加えて、全般に物価は高い。barやタパスではないレストランは、決して高級店ではないのに朝食2000円、昼4000円、夜8000円が目安だろうか。食費と飲み物だけで1日1人1万5000円ペースになり、加えてお茶代1300円、タクシー代、入場料で、1日あたり1人2万円も度々だった。

なお水は、高速道路のサービスエリアで買った2リットル0・5ユーロが最安値。最高値は有名観光地、0・5リットルで2・5ユーロぐらいだった。20倍も違うぞ。

水道水をがぶがぶ飲んだが、水質は昔の東京の水道水並みか。下痢するでもなく、いたって平気だった。

誤算その5:せっかくだからで買い物。
 ツアーでの買い物立ち寄りは、自由がなく割高に思えて控え目になる。一方、個人旅行だと「せっかくだから」で、ついハイペースに。

誤算その6:ほとんどクレジット決済だから、甘くなりがち。

危機一髪:最終日に嫁が、これだけ節約旅行(嫁にとって)をしたのだから、日本のロエベで目星をつけていたバッグを本店で買いたいと言いだした。本店で尋ねたお代は、もう一度スペインへいけるぐらいで「お得だ」という。体中の汗が、一気に瞳に集まり、ヨーロッパ大陸が涙の中に浮かんだ。

旅を振り返って注意すべき点。その1

1 まずスマホは、アップル系のiphoneを選ばないことだ。

マップで大失敗したこと、日本語入力がお粗末なことが、旅では致命傷になる。アップル系は、パソコンやipadなどが、ビデオ規格AVCHDに完全対応していない点でも、お勧めしない。アップル系の機器では、Sonyのデジカメで撮ったビデオを家族に見せられなくて、困ったからだ。

アンドロイド系は、日本語の音声認識と変換機能がiphoneとは桁違いの精度を誇る。マップもナビも翻訳も、海外で快適に日本語を使える。一度使うと絶対、iphoneには戻れない。画面が小さく地図も見にくいからね。

また、1日しかバッテリーが持たない古い世代のスマホ。simフリーにできないスマホは論外。旅では役に立たない。

2 プリペイドSIMの情報収集に努める。

yoigoの「bono8」=20ユーロを使った。旅をしたマドリッドやアンダルシア地方などでナビと翻訳を使う分には問題なかった。が、速度が遅いようでスカイプは使いものにならない。電話はスペイン国内だけらしい。一番困ったのはSMSを日本に送れなかったことだ。

この情報は不正確で、使い方が間違っている可能性がある。 しかし、プリペイドSIMの詳しい説明はスペイン語ばかり。英語の情報すら見つけにくく、日本で見つけた情報は「古い」と言われた。

オレンジやvodafoneがいいという情報があったが、マドリッド空港とプラド美術館周辺で見つけることはできなかった。店は英語が通じないことが多い。田舎町カルモナでやっと見つけたyoigoの店では、店員がグーグル翻訳を使って対応してくれた。

3 予約用のクレカはICチップ付きのインターナショナルカードを

VISAのICチップ付きインターナショナルカードは、便利。現地での支払いやキャッシングなどで、安心して使えるカードは絶対必要だ。

4 体への負荷を甘くみない。

スペインへは直行便がないから乗り換えが日本の常識だ。が、初日から「完徹」させる旅程のお陰で、旅行中、興奮が治まらず自律神経は不調だった。

帰国した翌日に仕事など絶対無理。戻すのに4日かかった。時差ボケ以前に負荷をかけすぎだ。 多くの人は2、3日後に不調を自覚し、さらに食事が合わない、天候が悪いなどが重なると体調を崩すだろう。

それでもツアーの多くがこのプランなのは、強く不調を感じるころには、もう旅が終わってしまうからか。 旅行中はトラベルハイになることも救いだ。自分も食欲は旺盛で、体はよく動いた。快調ではないが、不快でもなかった。疲れの蓄積に気づいたのは、帰国した後だ。

5 食事では、トリップアドバイザーが大活躍。

スペインの料理は、ざっくり言えば量が日本の倍。暑い所だから塩分を補給するため、基本的に塩味がきつい。甘い物も超甘い。日本で減塩や甘さ控え目が当たり前になる、はるか以前の古ーい味付けのようだ。

スペイン語で「塩分控えめ」と注文することも覚えておきたい。

パエリアは、こってりしていて、米はアルデンテのように芯がある。自分はおいしく食べたが、嫁は繰り返し食べたいと思わなかったようだ。

ちなみに、ゲロのようにまずかったのは、カルフールで見つけた「味の素」が使われている(もしくは味の素ブランド)のカップヌードルもどき。

このゲロマズより、さらに強烈なゲロマズウンコのレベルだったのは、セビリア空港のカフェテリアで食べたサンドイッチだ。スペインでは、見た目や高級店か否かに関わらず、ゲロマズに遭遇する可能性が、必ずあると思う。

ゲロマズでは体力レベルが回復するまで数時間、ゲロマズウンコに遭遇すると、半日以上かかる。

しかし、ゲロマズから逃れるためにトリップアドバイザーを使うようにしてから、満足度は一気に上がった。 口コミで店員は親切と書かれたコルドバの店では、本当にアドバイスも的確だった。

1人2皿ずつオーダーした後、どの位お腹がすいているか聞かれて、中ぐらいと答えると、「スペインは量が多いから、では4皿を3皿に減らした方がいい」と言ってくれ、勧められたワインも料理に合っていた。当然、お腹と旅の満足度は、一気に上昇する。だまって料理を残すなんて、店にも客にも不幸なことだからね。

店への距離や評判順で選んだりできる上、マップへ飛んで店までナビしてくれるのでトリップアドバイザーは手放せない。個人旅行で、絶対役立つ道具だ。

旅を振り返って、注意すべき点。その2

 旅先では、ちょっとしたつまずきがパニックを呼ぶ

A: 飛行機の出発ゲートが突然変わった。

ローマでの2時間のトランジットで、成田で指定されたマドリッド行きの出発ゲートに1時間前ぐらいに行くとだれもいない。ゲートには紙切れ1枚の案内もない。慌ててモニターで確認したら、1時間早まって出発した気配。変更の効かないエアチケットでスーツケースも失うと思うとパニックになる。

が、原因は出発ゲートが突然変更になっただけ。モニターに出発便のゲート案内が出る前の時間帯で、誤認したのだった。アリタリア航空のカウンターで英語が通じて胸をなでおろした。

かつて日本では、変更があれば、張り紙にアナウンス、案内要員まで配置して告知を徹底したように思う。山手線などJRでは、白線の内側に下がれとしつこいほどアナウンスした。ツアーなら添乗員が変更を知らせてくれるだろう。他人を頼ることが好きな人は、ツアーを選べばいい。

B :マドリッドのアトーチャー駅から乗る新幹線は飛行機のシステム 。

出発ゲートへ入る前にセキリティチェックがあり、飛行機のシステムとほぼ同じだ。出発フロアが2つぐらい分かれていて、マドリッドからセビリア行きは上層のフロアだった。

フロアには出発ゲートが多数並んでいる。電車毎にモニタで出発ゲートが示される。ただし、出発間際にならないとゲートは分からないようだ。

二等車の車内ではイヤホンが配られ、映画も上映される(英語が選択できたかもしれない)。ほかは日本と同じ。ビュッフェで軽食がとれ、水なども買える。イスは一等、二等ともリクライニングできない。イスを進行方向に変える仕組みもない。

C :新幹線は日本で早めに予約する 。

スペインでは格安航空と新幹線が競合している。だからか新幹線は長距離で早期予約だと3、4割も安くなるらしい。現地で普通に切符を買うと、この恩恵は受けられない。

D: チケットマスターは、便利だが日程がしばられる。

バカンスシーズンのチケット売り場は、どこも長く待たされる。

チケットマスターなら行列の苦痛と時間のロスがない。が、チケットマスターは仕組に統一性がなく、複雑でややこしい。

サグラダファミリアは、券のプリントまでできる。が約1週間前にならないとプリント画面が出なかった。

アルハンブラ宮殿は、券のプリントができない。現地で、黄色の機械で発券する。

アルハンブラ宮殿の入り口向かって右奥に発券所があるが、場所が分かりにくい。この発券所では黄色の機械は1台だけで、これは使わない方がいい。多数ある専用機械を使う。購入に使ったクレカを入れるのだが、操作がややこしく、結局係員に頼んだ。前の人をよく見てまねるか、係員を呼ぶこと。詳細な情報をだれかネットにあげてほしい。

チケットマスターが不便な点は、一切変更や返金がかなわないことだ。何かあればお金を捨てるしかない。さらに直前予約には、まったく不向き。夏のハイシーズンでは2週間前でも、ほぼ売り切れ状態で、時間の選択の余地がなかった。スケジュールを熟考した上で、早めに使うべきだろう。

E: バスのチケット売り場のシャッターが閉まっていた。

マドリッドからトレドへバスで移動した際、6号線のPlaza Elíptica駅で「地下鉄の改札を出れば、すぐにバスのチケット売り場でチケットを買える」「バスは30分毎に出ている」という情報を頼りに行くと、フロアが4層ぐらいある上にチケット売り場らしきところはシャッターが降りていた。

売り場を探し回っているうちにバスが出てしまい、おまけに、次に出るバスは、たまたま1時間も間が空く時間帯だった。平日と週末、合理化など変則事項はいくらでもある。結局、チケットは自販機で英語で買えた。

F: 地下鉄の駅が工事中で乗り換えができなかった。

マドリッドの地下鉄で、乗り換え駅で路線を変えようとしたら、ロープが張られていてどうやっても乗り換え駅へ入れない。後で、工事中で乗り換え不可だと分かった。

そういえば、各所に大きな案内ポスターが貼られていたようだ。が、あいにくスペイン語は、できねーんだよ。こんな時、アンドロイドのスマホなら写真に撮って、日本語に変換できるアプリが利用できるはずだ。

G:バルセロナの地下鉄の回数券は1枚しか出てこない 。

バルセロナの地下鉄では、10回回数券を買った。2人で使う予定だが、出てきたチケットは1枚だけ。回数分のチケットを吐き出したパリの地下鉄と違うやんけ、ボケと思ったが…。

結局、最初の人がチケットを入れる⇒次の人が出てきたチケットを取る⇒扉が開くので最初の人が改札を通る⇒次の人が再びチケットを入れ、出てきたチケットを自分で取る⇒扉が開くので次の人が改札を通る、手順で使えた。

さらに地下鉄からバスへ75分以内に乗り換えた場合は2回分ではなく1回分としてカウントするなど、有益な情報は「地球の歩き方」には載っていない。

H: 地下鉄のエレベーターは、直接出口に出るとは限らない。

バルセロナの地下鉄で、スーツケースを運ぶためリフトを利用した。空港行きのバスが出るカタルーニャ広場の駅でリフトで外へ出ようとしたら、中2階のようなフロアしかなく出口へ出られない。

乗り換えの効かないチケットで出発時刻は迫っている。なのに、地下鉄内で閉じ込められた状態に。オーマイガー。結局、中2階から反対側のリフトに乗り換えて再び下へ降り、出口へ出るような構造だった。

F: スペインでは、くせのあるインディカ米であることを忘れずに。

食欲が落ちていたので、カレーを食べようとインド料理店を利用した。中へ入れば、日本でよく利用するインド料理店に近い雰囲気。で、いつものように「ご飯とナン、どっちにしますか」と聞かれた嫁は、いつものように「ご飯」を選んだ。

が、当然、ジャポニカ米じゃなくて細長いインディカ米なんです。見た目はウジ虫。インドだと、これに炊いた水のにおいが付く。ま、カレーをぶっかければ、さほど気にせず食べられる。ここはスペインなので、炊いた水のにおいは、ほとんど気にならない。

でも、嫁はウジ虫の山を見てげんなり。ただし、ナンとの組み合わせでは、日本よりおいしいことは間違いない。ついうっかり、米好きの日本人の習慣が出るんだよな。

G: 冷やしうどんは、ざるうどんではない。

食欲が落ちていたので、和食を食べようと日本料理店を利用した。冷たい麦茶も出てきて、すっかり日本にいる気分に。

で、軽い料理がいいと「うどん」を注文。外は焼けるような暑さで「熱いうどんでいいですか、冷たいのもできますよ」と日本語で聞かれた嫁は、当然のように冷たい方を選んだ。日本のそうめんやざるうどんをイメージして。が、出てきたのは、1時間前に作りおきしたうどんを冷蔵庫で冷やしたような「冷やしうどん」。

パスタ風の麺が変に延びきっていて、いわゆる残飯状態。温かいうどんの食べ残しが、冷え切ったようなモノがやってきた。嫁の体力が10ポイントほど、さらに低下したのは言うまでもない。

H: 飲食店の営業時間は、日本より2、3時間ズレている。

食欲が落ちていたので、グラナダで評判のザクロへ行った。ナビで簡単に見つかると思いきや。目的地に到着しましたと言われても、一向に見つからない。目的地には店の看板や気配すらない。

時間は間もなく12時。飲食店なら11時半ぐらいから入店できるのが日本の常識だ。人気店と口コミにあったので、予約なしで時間が遅くなると入店できないと考えて、いっそうあせる。300メートルほど戻ってインフォメーションで聞こうとしたら行列。再びナビで戻ってもダメ。目的地より先を200メートルほど探ってもダメ。ナビをストリートビューに切り替えてたどってもダメ。

途方にくれて、観光ボランティアに聞くも、この道であっているという。ウロウロすること小一時間を経て、ようやくザクロを発見。ナント、場所は合っていた。ただ、ザクロがシャッターを閉めていて、看板すら表からは見えなかっただけだ。通常のスペインの昼の営業時間は午後2時前後。12時20分ごろになって、ようやくシャッターを開けたのだ。夜も遅くて通常は午後9時ぐらい。あせると、つい日本を基準に、誤った判断をしてしまうのだ。

I :トレドの銃剣類のお土産に注意。

トレドには軍事博物館があり、市内には銃剣類の土産を売る店が多い。きれいな装飾が施されたクラシックなピストルを買った。が、以後の電車、飛行機のセキリティでトラブル続出。

電車のセキュリティーチェックでは、スーツケースではなく、持ち込み手荷物の方が、すぐ開けられてスムースだった。ところが。飛行機は逆。ピストル類は、おもちゃでも機内持ち込みが禁止されている。警官は英語をしゃべらない。スマホの翻訳機能とボディランゲージで説明し、いったん、セキュリティーチェックを出て、航空会社の手荷物カウンターで預け直すことで解決した。

 ところが、到着先のバルセロナの空港で、このピストルだけロストバゲッジになり、1時間以上、空港内で待たされた。結局、2日後に宿泊先のホテルに届けられたが、ロストバゲッジの際は、現地で通じる電話番号が必要だ。Eメールにしてくれと頼んだが、基本的に電話以外のやり取りは不可のようだ。

出発2週間前。旅の基本

次のようにヨーロッパ旅行の基本案を考えた。

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まず拠点都市に泊まって体を慣らす。

スペインは日本から直行便がない。もちろん、乗り換えで1日でいける。しかし、日本のベッドを出てからスペインでベッドへ入るまで20~26時間かかるのは、最悪のプランだ。

自分もそうだったが、ほとんどのツアーは、旅の始まりから、いきなり体に負荷をかけすぎている。

時間貧乏の、いかにも日本的な行動だろう。ま、日本人のくせにヨーロッパ人並みの長い休みをとろうとすると、逆に死ぬ思いをするからね。

できるなら、入り口にする拠点都市を決めて、ゆったり過ごし、現地の格安航空を利用して目的地に移動するのが、個人旅行者にはふさわしいと思う。

格安航空の利用に便利なイギリス・ロンドン、オランダ・アムステルダム、フランス・パリ、イタリア・ローマあたりが候補。


大まかな旅のプランを立て、ネットで宿、電車・バス・飛行機、観光チケットなどを予約する。

手配を済ませておけば現地では楽になる。半面、あまりにガチガチのスケジュールを組むと、後で泣く羽目になる。


遅くとも成田空港でユーロに換金しておく。

1ユーロ130円で成田の両替は134円ぐらいだった。これが現地だと、何と150円だ。現金はできるだけ少なく、クレカをメーンにする。フランスは、ほぼ100%だが、スペインも、ネット予約を併用すれば90%ぐらいクレカでいけると感じた。


スマホを現地のSIMに変える。


予約済みの格安航空で観光したい国や都市へ飛び、ゆっくり旅を始める。


スマホのナビと翻訳機能を駆使して、効率的に旅を楽しむ。


拠点都市から帰国する。帰りは別の拠点都市でもいい。

マドリッド観光は美術館だけ

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プラド美術館ルーブルに比べれば大したことがない、というのは本当だ。なのに多くのツアーではマドリッドがメーン、トレドはサブで半日観光になっている。個人旅行なら、逆だろう。ということでマドリッドは美術館だけにした。

チケットを見せて美術館外へ出入りできたので、スーツケースをクロークに預けて、コインロッカー代わりにした。しかし、近くにレストランが少なく、携帯用SIMが買える店も見つからない。結局、食事は美術館内のカフェテリアを利用したが、お値段それなりでまずい部類だった。

絶景を肴に味わうディナー

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中世のまま時間が止まったような街「トレド」。ここは今回の旅のメーンの一つで、パラドールに2泊する。

眺望抜群、丘の上のパラドールに夕暮れが迫るころ、そよ風が吹くレストランのテラス席からは、世界遺産「トレド」を一望にできた。

レストランに隣接する貸し切りスペースでは、どうやら結婚式の披露宴が行われるらしい。陽気なラテン音楽が流れてきた。地平線の彼方まで、澄み渡る夏の青空へ向かい、叫ぶような明るい歌声が響く。太陽は次第に高さを失い、青空は静かに闇を受け入れようとしている。

今日は週末。トレドの街がライトアップされる最高の条件で、自分がまるで絵はがきの世界の中へ入り込んでいくようだ。

テイスティングで注がれたワインの香りを鼻に運んで「ボノ」と一言。絶景を肴に味わうディナーのスタートである。で、目の前にはドレスアップした美しい嫁がいるのだ。

オーマイガー。

軍事力について考えたトレド

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トレドには、日本では決して見られないような軍事博物館がある。

平和を愛し、人殺しが不得手だった民族は、武器の開発を怠り、ヨーロッパ人の奴隷になった。生活の場は、植民地という名の収奪地に変わった。

一方、人殺しが日常の中で生き、効率的に人を殺す道具を作り続けてきたヨーロッパ人は、覇者となり支配する側に立った。軍事博物館は、誇らしげにその歴史を記す。

日本人の中には、いまだに憲法9条をあがめ奉る者もいる。平和を愛し、人殺しが不得手な民族であることを恥じるなという人がいる。

しかし、ヨーロッパの地を踏む度に思う。自ら平和をたぐり寄せるには、人殺しの腕を磨くことを忘れてはならない。長く続く平和の中にいるからこそ「断じて忘れるな」だ。

セビリア近郊のカルモナでバカンス

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振り返ってみれば、ここが旅のハイライトだった。

天正遣欧少年使節支倉常長らもこの城(パラドール デ カルモナ)に泊まったらしい。王城というより、領主の館というイメージ。もともと王が狩猟用に建てたそうだ。丘のてっぺんにあり、眺めがすばらしい。周囲はのどかで、朝はにわとりのコケコッコーの声で起こされる。

庭にあるプールで、時折体を冷やしながら、デッキチェアでのんびり読書をするのが、ヨーロッパ流バカンスの過ごし方だろう。パティオでお茶したり、雰囲気のあるbarでお酒を楽しんだりもしてみたい。

なのに、たった一泊、遅くに寝に帰って、朝は慌ただしく出発する。合間にパチパチ記念写真を撮る、という、とても日本人らしい利用法のままで終わった。

グラナダでアルハンブラ宮殿へ

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前日の「カルモナのバカンス」が台なしになったのは、チケットマスターでアルハンブラ宮殿を予約したのが原因だ。

暑さを避けて午後より夕方に観光するのが、スペインの掟。なのに午後5時半だと「夕食が近い時間だから、まずいだろう」と午後2時半を選んだバカがいた。気づいても後の祭りで、チケットマスターは、一切変更がきかない。

おかげでカルモナでは、正午のチェックアウトまで、のんびりバカンス気分に浸ることも、途中の夢のようなルートA-380をじっくり堪能することもできなかった。

ではアルハンブラ宮殿に、カルモナやルートA-380を上回る魅力があったか? 夏のハイシーズンの観光名所なんて、世界中どこだって一緒。ただ単にきれいで、写真を撮れば絵になる場所だ。暑くて人も多いし、10分ごとに休憩ばかりしていた。

噴水があるアラブ風のパティオは、イヤでも類似のものをスペイン各地で見ることになる。確かにアルハンブラ宮殿は、その頂点に立つほどすばらしい。

が、カルモナの古城とルートA-380を上回る感動を得ることはできなかった。喜んでいるのはツアーの観光客ばかりだ。

コルドバのメスキータとフラメンコ

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発祥の地というセビリアで、見ることができなかったフラメンコをコルドバで見た。スペインの民謡だ。歌と踊りと観客の合いの手は、民謡に欠かせない。

学生のころ、ユーレイルパスを使って乗ったスペイン国鉄3等席は満席。電車のデッキを占有していた乗客らが、カセットテープをかけ、何やら手拍子をとりながら歌っていたことを思い出す。今思えば、これがフラメンコだった。電車の中で長い時間を持て余している時、自然発生的に楽しんでいたのだ。

手拍子が止んだ時、乗客の一人に声をかけられた自分は、ハポンから来たと言ってウォークマンを自慢気にみせ、当時流行していたYMOのテクノミュージックを聞かせてあげた。「どうだ、これが世界で最先端の音楽だ」と胸を張って。

「おおー」と感心するような声が上がり、乗客らは、だまって聞き始めた。やがて、リズムをとろうと、だれかが手拍子を打ち始める。が、シンセサイザーの機械音は、人の手拍子を拒絶した。音は、まったくかみ合うことがない。

やがて、カセットは返され、再びフラメンコの手拍子が始まった。まるで何事もなかったかのように。

世界に通じると豪語したYMOの音楽の力なんて、しょせんこの程度なんだよな。「ごめんよ兄ちゃん。これは俺たちの音楽じゃない」ってことなんだろうが、日本そのものを否定されたように思えて萎えた。

さて、当夜のコルドバのフラメンコ会場は、ドイツ人らしき旅行者が多くて、なかなか盛り上がってゆかない。目の前に座った家族旅行者の子供は、眠気に耐えられなくて、うつらうつらしている。

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それでもステージ上では、熱演が続く。男性の踊り手が、激しくタップを踏みながら、きれいにターンを決めた。キレがあるダンス。情熱的な歌い手。扇情的な黒と赤のドレス。

ブラボーと叫んだ声が、オレンジの木が茂る中庭を抜け、シリウスに向かって小さく消えていった。

ま、シリウスがどこにあるかなんて、自分は知らないけどね。

わが青春のスペイン広場

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セビリアのスペイン広場は、バックパッカーだった青春旅行の思い出の地だ。夕暮れ時には、世界中の観光客がそぞろ歩きを楽しんでいた。ヨーロッパ系のカップルが、いちゃつくのを横目に、「自分も将来、彼女とここへ訪れる」と誓った場所である。

ま、嫁も彼女のうち、には違いない。

 

200年もかかってないじゃん

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スペインと言えば、お約束のサグラダファミリアである。35年前は、教会らしい雰囲気にはほど遠く、ただ壁の一部が建っているだけだった。天井どころか、柱が数本並んでいるようなありさまだったが、柱の一部らしき塔に登ることができた。

それが受難の門だ。

観光をやめ最終日は買い物に集中

 

 

旅行の最終日は、バルセロナで買い物に集中する。ツアーが最低だと思うのは、買い物が制約されるところだ。f:id:geromazu:20130810224303j:plain

「銀座4丁目」に泊まっている地の利を生かして、デパート、ユニクロ、ブランド店、市場を巡る。

福岡へ帰国、博多ラーメンを食べるバイ

帰国先は福岡だ。トランジットは約4時間ある。日本料理文化の頂点の一つであるラーメンを久しぶりに食べることにする。本場の博多ラーメンだ。

福岡空港は約30年ぶりだが、空港と市街地が近い特長は変わっていなかった。国際線発着ターミナルビルが拡張、増設されていた。バスで移動し、国内線のカウンターでスーツケースを預けてから地下鉄に乗る。

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旅のコラムを別に設けた。

 http://geromazu.hatenadiary.jp/